建築法話③ 大黒柱 大黒柱 土間

大黒柱

旧家の中に立ち入ったとき、まず目に飛び込んでくるのが大黒柱です。
座敷や土間を広くするためには、大きな梁や差し物が必要になり、それらが交差する位置の柱は必然的に太くなります。その柱をいつしか大黒柱と呼ぶようになりました。
一般的に、大黒柱は「田」の字型の間取りの真ん中に配置されます。それは食事を作る土間と食事をとる座敷の境です。

もともと大黒さまはインドでは鬼を退治する戦闘の神さまでしたが、中国で食堂を守護する神さまに姿を変え、日本に伝えられました。
太い柱が使われるようになった桃山時代頃、大黒信仰が民間にひろまり、大黒さまが食堂の守護神として土間と座敷の境の柱におまつりされました。そのことが大黒柱の命名の由来ではないかと推測されます。

昔は父親のことを一家の大黒柱といいました。家で親がはたらく姿を子どもに見せる機会がたくさんあった時代、子どもたちは親の影響を受け、親の体験を通して多くのことを学びました。そこには家という小さな社会の規律・教えがあり、その中心に親がいたのです。
しかし、現代は父親はサラリーマン、母親も自分のことが忙しくて家にいない、教育のことは学校と塾まかせ、家の教えなどありません。教育の現場が荒れているのは、家で正しいことを子供に教えていないことに原因があるように思えます。

「ウカンムリ(家)の中で示す教え」と書いて宗教と読むことができます。
昨今の住宅事情で大黒柱のある家は少なくなりましたが、子供たちに正しい教えを示していかなければと感じます。


大黒柱について

大黒柱 土間

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