死後の世界 『このあと どうしちゃおう』 未来世

『このあと どうしちゃおう』

ヨシタケシンスケ著『このあと どうしちゃおう』という絵本を紹介します。

おじいちゃんが亡くなり部屋を掃除していたら「このあと どうしちゃおう」と書かれたノートが出てきました。
「このあと」とは、自分が死んだ後のこと。
ゆうれいになってしばらくようすをみる」
「きがすんだらてんごくへ」
「てんごくにあきたら べつのものにうまれかわって またこのよにもどってくる」など、
おじいちゃんが生前に想像していた死後の世界が、ユーモアたっぷりの文章とかわいいイラストで描かれています。

この絵本は子供だけなく、大人も充分に楽しめ、「死」を見つめる機会を与えてくれます。
「死」は避けることができないものです。
死後の世界」を見て帰ってきた人は一人もいません。
「死」は命あるものにとって最大の不安です。
その「死」を「おじいちゃん」の視点でわかりやすく描き出している点で、この絵本は死生観を描いた経典のようだと感じました。
図書館やネットで検索するなど、ご覧になっていただくようお勧めします。


死後のことを表現する

絵本作家のように上手に表現できなくても、自分なりに想像した「死後のこと」を書き出してみると人生観が変わってくると思います。
 
死後の世界をどう考えているか」
「天国や地獄はどういうところか」
「何に生まれ変わりたいか」
「何を供えてほしいか」など、
思いつくままに書き出して、家族や親しい人と気軽にお茶でも飲みながら話してみませんか。

自分が亡き後、どこにいるのかを遺された人たちに想像してもらうきっかけになると思います。
肩の力を抜いて、気持ちが暗くならないように、心が和む方向で考えてみましょう。
人は自分が見たこと、経験したことからイメージを膨らませます。
誰も経験したことがない死後のことを想像するのは難しいと思います。
多くの人は、本や映像で見たことや、誰かに聞いた話から死後の世界を思い描くのではないでしょうか。
そこには何かしらの宗教観が根底にあると思います。


経典に説かれていること

仏教の経典には「未来世」という表現で死後の世界が描かれています。

法華経の『譬喩品第三』には、お釈迦さまが弟子の舎利弗尊者に、「無量無辺不可思議劫という量り知れない歳月の後、千万憶の仏を供養し、菩薩の修行を全うし、華光如来という名の仏に成るだろう」と告げられています。
永遠の時のなかで何度も生まれ変わりを繰り返し、お釈迦さまの教えを信じ修行を続けた結果、仏に成れるということです。
今生でも、来世も、そのまた来世も、延々と信心を貫き通すことが課せられているのです。
死後もお釈迦さまとの関係が連綿と続くことを有難く感じるか、厄介だと思うか、そこが信仰の分かれ目です。

『譬喩品第三』には、華光如来が治める仏国土について次のように説かれています。
「国土はどこまでも平らで清く厳かに飾られている。地は瑠璃色の宝石で、八つの交わる道がある。その道の両側には黄金の縄があり、その傍らに各々七つの宝によってなる樹木が並び、常に花や果実がある。そこに住む菩薩たちは志が堅固であり、無数の仏のもとで修行に励んでいる」と、
事細かに説かれています。

他の経典にも様々な仏の国の様子が説かれています。
それらの描写を形にしたのが、お寺の本堂を荘厳する金箔を押した天蓋(てんがい)・羅網(らもう)・瓔珞(ようらく)などの仏具です。
本堂をお参りしながら、きらびやかな仏の国で、自分が仏を目指してどんな修行をしているか想像してみてください。
現世と死後の世界がつながりを感じるために、自分も仏に成れると信じることから始めましょう。

エンディング

死後の世界『このあと どうしちゃおう』