仏教ひとまわりツアー 「尼僧さんといっしょに浄土めぐり」 尼僧さんといっしょに浄土めぐり 仏教ひとまわりツアー 浄土

尼僧さんといっしょに浄土めぐり

2月9日(土)、寺ネット・サンガ主催の仏教ひとまわりツアー第9回「尼僧さんといっしょに 浄土めぐり」が開催されました。
場所は駒込大観音で知られる、文京区向丘の光源寺。当日は約30名の参加者が集まりました。

光源寺の島田絵加副住職から、浄土宗の教えや浄土についてのお話しを伺います。
とてもお若く、目がキラキラとした笑顔のステキな尼僧さんです。

浄土宗 浄土とは?
苦しみの多い世の中を生きている私たちが命尽きた後、おだやかな時間を過ごす場所が浄土といわれています。
私たちのいのちが生きている現在に限らず、生まれる前から死んだ後までずっと続いていくと考えてみますと、「今」という時間を粗末に過ごすことはできないはずです。
その場限りの投げやりな感情や行動ではなく、いつか旅立つおだやかな世界へ向けて、今から少しでも良いことをしよう、周りの人にやさしくしようという気持ちが出てくると思います。

命尽きた後に、おだやかな世界が待っていると思うことで、「今」という時間をおだやかな気持ちで過ごすことができるのではないでしょうか、と島田副住職はおっしゃいます。

浄土宗の教え
浄土宗では、「南無阿弥陀仏」と十回唱えることを「お十念」といいます。お十念の息継ぎの箇所、節の調子など細かく教えて頂き、私たちもゆっくりとお唱えしました。

本堂脇に掲げられている弥陀来迎図(みだらいごうず)の掛け軸には、浄土を創造し、守ってくだっている阿弥陀如来さまが描かれています。私たちのいのちが尽きた瞬間に、阿弥陀如来さまを中心にたくさんの仏さまが音楽を奏でながら、迎えにいらっしゃる様子を表しています。
島田副住職は、この掛け軸を見ながら「迎えに来てくださる」ことにあたたかさを感じるとおっしゃいます。

お十念を唱える際には、阿弥陀如来さまに「お迎えに来てくださいますように」とお願いする気持ち、またお迎えに来てくださったことに対する感謝の気持ちを込めることが大切だそうです。
実際に、お経をお唱えながら浄土宗信徒日常勤行式をご一緒させていただきました。

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光源寺について

○光源寺について
光源寺は大正17年(1589)神田に創建されました。慶安元年(1648)、城下町に当たる神田にお寺は相応しくない光景ということで、光源寺は周辺のお寺と共にこの地へ移転となりました。その後、お寺も大観音さまも空襲により焼失してしまいます。
阿弥陀さまと過去帳しか残らなかったそうです。本郷から寄進頂いたお茶室をこの地へ運び、お茶室を本堂としてお寺は復活しました。

6年前に再建された現在も約120年前のお茶室(本堂)は壊さず、大切に保存されています。
家屋の中に建物としてのお茶室(本堂)があるという、「家の中の家」という特殊なスタイルは、苦しい時期を乗り越えて想い出のつまったお茶室をそのままに残したい、という光源寺の現ご住職のご意向から生まれたそうです。

光源寺では、毎年7月9日と10日に「ほおずき市」が開催されます。大観音さまにお参りすると46000日分お参りしたと同じご利益があるとされる縁日です。

○駒込大観音

文京区の観光地としても有名な「駒込大観音」。奈良にある長谷寺の十一面観音を模したもので、空襲の際に焼けてしまったものを再建したものです。
観音さまの「十一面」とは、その言葉通り大小合わせて十一のお顔のことです。その時々によって、いろいろな気持ち、いろいろな顔で対応してくださる観音さまなのです。

普段は観音さまの背面を拝見することはできないのですが、今回のツアーではなんと観音堂の中へ案内していただき、間近で観音さまのお顔を拝見させていただきました。
十一面の一番背面にあたる顔は、大笑いをしている顔です。これは、苦しさのあまり笑うしかない、泣き笑いのような表情だということです。
そんなふうに聞きますと、たしかに大笑いをしているのですが、何だか哀しいような顔に見えてしまうから不思議です。

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「遺書」を書く~遺されるあなたへ~

○『遺書』を書く~遺されるあなたへ~
「遺書を書く」という変わった試みを、島田副住職はテレビ番組の企画で知ったそうです。
どのようなことを、誰に伝えたいのかということを真剣に考えることで、今自分の思いがどんなことに注がれているのかということを再確認する作業です。
書き終えた後、遺書を書きながら思ったこと、気づいたことなどを4、5名のグループに分かれて話し合います。グループごとの発表はありませんでしたので、各グループでどんな意見が出たのでしょうか。みなさん真剣な顔で語り合っていました。

遺書を書くという作業で、もしかしたら、つらく苦しい気持ちになってしまう方もいらっしゃるかもしれません。島田副住職も決して無理をして行う必要はありません、とおっしゃっていました。

浄土について
最後に、参加さてれた各宗派7人のお坊さんたちから、浄土についてお話を伺いました。
浄土宗・真宗大谷派・曹洞宗・臨済宗・真言宗・日蓮宗のお坊さんたちが浄土について語る、というとても珍しい機会です。「実家と嫁ぎ先の宗派が違うと亡くなってから行く浄土も違うの?」という参加者の素朴な疑問に真剣に答えるお坊さんたち。興味深そうに、時にうなずいたりしながら、お坊さんたちもお互いのお話に耳を傾けていました。

○懇親会
仏教ひとまわりツアー」の最後には、御朱印を押したハガキサイズの参加証が島田副住職より授与されます。
光源寺の建物の美しさに多くの人が去りがたい様子で、ツアー終了後もしばらくお寺の中をウロウロしている参加者の姿が見られました。
ツアー後の懇親会へ向かいます。途中から島田副住職も姿を見せてくださいました!
ツアーガイド中の真剣な表情から、少しホッとしたような明るい表情になっています。
約30名を相手にガイドを務め終え、お疲れだったことでしょう。ステキな笑顔で、懇親会参加者たちの心を和ませていました。


仏教ひとまわりツアー「尼僧さんといっしょに 浄土めぐり」

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