仏教ひとまわりツアー 港区「明王院」護摩祈祷 ホットな夏にお護摩の炎で厄払い 護摩 明王院

ホットな夏にお護摩の炎で厄払い

寺ネットサンガ主催の人気企画「仏教ひとまわりツアー」も第7段を迎えました。第7段は「深遠(ディープ)な寺めぐり ~甚だ深い仏の教え、そーっとのぞいてみませんか?」と題して、色々な体験を盛り込んだ、ちょっと深めなお寺めぐりツアーです。その第1回が2015年8月29日(土)、港区三田の真言宗のお寺、五大山明王院不動寺にて開催されました。


真言宗と言えば、厳しい護摩修行を思い浮かべる方も多いかと思いますが、なかなか他宗派の方にとっては縁遠い存在の護摩祈祷。それを目の前でお参りできる貴重な機会が今回のツアーの目的です。ただでさえ暑い夏なのに~さらに火を焚いてご祈祷?!はい!今回のツアーテーマは「ホットな夏にお護摩の炎で厄払い」なのです。残暑に炎の暑さも加わって厄払いも効果が増しそうな気配。



さて、お護摩の祈祷法要を行ってくださるのは真言宗豊山派の明王院の市橋杲潤(いちはしごうじゅん)師。
実は、三田界隈はお寺が沢山ある場所の一つ。お寺が並ぶ一角に明王院はありました。古くは江戸時代に八丁堀にあった大師様とお不動様を当地に移したそうで、「厄除け大師」として江戸の昔から大切に守られてきたのだといいます。他にも本堂には、当時氾濫した川の竜を退治したという伝説と共に、竜頭の骨とされるものがお祀りされ信仰の対象とされてきたのだそうで、文化文政よりも古い時代のものらしいとのことでした。








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九條錫杖経 真言宗豊山派 明王院

当日はあいにくと霧雨のそぼ降る空模様。8月末というのに秋雨前線の影響で予想外の気温の低さです。
まずは市橋杲潤さんからのご挨拶。そしてお浄めの意味もあるお香を一人一人頂きます。お香を右手で一つまみし、それを左手に落とすようにとのことでした。


○九條錫杖経

市橋杲潤さんが錫杖を手に説明くださいます。
「お手元には『九條錫杖経』という錫杖の力を説いたお経をお配りしました。今日は皆さんと一緒に唱えようと思います。錫杖はお地蔵様の慈悲を表す持ち物なのですが、長谷寺の観音様はお地蔵さまの力も併せ持つので錫杖を持っていらっしゃいます。錫杖は行脚をする際に足元にいる虫などの生き物に対して無益な殺生をしないようにするための物とされています」

錫杖は魔除けの意味もあり、煩悩を浄める役割もある法具です。市橋さんも錫杖をシャンシャンと鳴らしながら、四国八十八箇所のお遍路を歩いたのだそう。その時に野良犬が後をついて来ていたそうですが、襲われたりしなかった体験を話してくださいました。「熊避けとも言われる錫杖ですが、野良犬には効いたことは実証済みです!」と笑いを誘っていました。

九條錫杖経を唱える際、長谷寺では節をつけて歌うように唱えます。私達も初めてではありましたが、聴きながらなんとかついていく感じで唱えさせて頂きました。






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護摩祈祷法要

○「護摩」の話いろいろ

護摩祈祷の「護摩」は現在(ゴマ)と読んでいますが、元々は違う読み方をしていたとも言われていて、中国から日本に伝わる際に「ホーマ」と言っていたものを、音写する過程で「護摩」と書いたのが由来とも。(もしかしたら昔の人達は「護摩」を(ゴマ)ではなく(ホーマ)と読んでいたかもしれません)ホーマは『神様に捧げた御供物を焼いて煙を上げることで願いを伝える意』で、「フウ」(運ぶ、供えるの意)がホーマ→ゴマと変わっていったとかんがえられているそうです。

お堂の中央にある方形の護摩壇。護摩壇が方形なのは五輪塔などと同様に一番下にある「地」を方形で表しているから。また、その壇は仏さまの座となる蓮の花弁で飾られ、仏さまがいらっしゃる場となる様子を模しているのだそう。「実は護摩壇の前には鳥居があるんです。あの神社と同じ鳥居です」と市橋さん。護摩壇の手前に2本の棒が立てられ紐のようなもので繋がれて結界を作っています。

いよいよ護摩祈祷の法要です。護摩木が燃える際に火の粉が飛んできて僧衣に穴が開いてしまうこともある為、厚手の僧衣に着替えてご祈祷が始まります。今日は皆さんの息災を祈り拝んで頂きます。
炎が上がるまで少し時間がかかりましたが、メラメラと燃え上がると天上に踊るように昇る火がパチパチと音を立てています。護摩祈祷では護摩木と共に煩悩を燃やすそうですが、炎を見ていると不思議と気持ちが昂揚してくるようでした。市橋さんは護摩壇の前から太鼓の前に移動して、太鼓を打ちながらお経を唱えます。炎が徐々に静まって護摩木が燃え尽きると法要も終わりに近づきます。手慣れた様子で道具などを整えて法要は無事に終わりました。



○まとめ

護摩法要を終えて皆さんのお顔も何かさっぱりとされた様子でした。その後、お大師様とお不動様を近くで拝ませて頂きました。護摩供養の際の煙で燻されるのでしょう、お堂の天井は真っ黒になっていました。都会の真ん中にいることを忘れてしまうような空間で護摩供養をして頂き、また、錫杖経をお唱えできたことは大変貴重な体験でした。




仏教ひとまわりツアー 港区「明王院」護摩祈祷

護摩 明王院

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