お骨のゆくえ~寺ネット・サンガ「坊コン」 青木隆興さん「お骨のゆくえ」 お骨 お墓じまい

青木隆興さん「お骨のゆくえ」

お坊さんと直接語り合える場「坊コン」が9月25日(金)日本橋にて開催されました。
全6回で行われる坊コン・供養シリーズの今回のテーマは「お骨のゆくえ」です。

《大阪市 興徳寺(真言宗)青木隆興さんのお話》

「関西方面、大阪周辺の一事例として聞いてください。仏事というのは決まったマニュアルがあるわけではありませんので、そこはご承知おきください。
多少地域差もあるのですが、”納骨”ということで言いますと、関西方面では骨壺からお骨を取り出して、さらしの袋に入れ替えてそれをお墓に入れるのが一般的です。骨壺は入れません。さらしの袋と骨が溶けて土に帰りやすいからというのがその理由です」と青木さん。

関東では大きめの骨壺の中にすべてのお骨を納めますが、関西では大体のお骨を小さめの骨壺に入れたら、残ったお骨は火葬場の骨塚に納めます。京都と大阪でも骨壺の大きさに違いがあるそうなので一概に関西地方全般とは言えないそうですが、関東と関西でそんなに違いがあると聞いてとてもビックリしました。

大阪の「一心寺」は、納骨されたお骨を使って阿弥陀如来を作っている浄土宗のお寺です。10年に一度、集めた十何万体ものお骨で一つの仏様を造っているそうです。
一心寺は納骨料が安価な点も人気の理由だそうですが、納めるお骨が大きいほど費用も高くなるといったシステム。お値段によってお骨の扱いが違うなどのクレームも耳にするそうです。一心寺のお話を伺って、関東と関西のお骨へ対する意識の違いを感じた参加者は多かったのではないでしょうか。

色々な納骨の方法がある昨今ですが、青木さんは『仏事というのは誰に向いてしているか?』が問われるといいます。「自分の都合ばかりでなく、亡くなった方にどうなって欲しいか?と思うと必然的に答えが出てくるのではないでしょうか」とおっしゃっていました。

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供養コンシェルジュが語る「お墓じまい」

《供養コンシェルジュ樋口さんのお話》
昨今の終活ブームで「お骨のゆくえ」というタイトルもTVや雑誌などでも使われるようになってきました。講演でも散骨や樹木葬についての話が人気で、皆さん興味をお持ちのようです。

お墓を既に持っている方の中には、お墓を終わらせたい「お墓じまい」をしたいのだがどうしたらいいか?という質問が多くあります。後継ぎがいないからとか、自分は一人身だからといった理由でお墓を継げないという事情がありますので、それはもうどうしようもない事として「お墓じまい」をすることになるのですが、では、お墓をどうやってお終いにできるのでしょうか?

お墓じまい」をするには大体3つの方法があります。
・永代供養墓
・樹木葬
・散骨
この3つの選択肢のうちどれがいいか?という相談が多く寄せられます。しかし、少しでも供養が出来る可能性がある場合以外は「散骨」を選ぶ方が増えてきました。この散骨についての相談の中で多いのが散骨の為の手続きの問題です。

○散骨をする際の手続きの問題
お墓を移動する「改葬」等の場合、基本的に受け入れ先の墓所を決めたら、役所で証明書を出してもらいます。永代供養墓や樹木葬の場合はお墓の受け入れ先として認められているので手続きをできますが、散骨の場合は受け入れ先が「海」なので証明書が出せません。散骨についての法律は定まっていないこともあり、現在はグレーゾーンの状態で行われているのが実情です。
散骨の場合は受け入れ先から書類が出ないので、「お骨を出すことは認められない」と墓地管理者から言われるケースもあるそうです。

お骨に関しての多い質問
・墓じまいをしたいけどどうしたらいいか?
・墓を閉めるにあたって住職と話をする際に何と言えばいいのか?
・散骨について・・・散骨を決めたけど、住職にどう話せばいいの?
・分骨についての質問・・・お骨を分骨して持つことはいいことなのでしょうか?
・何人位になら分けてもいいの?
・手元供養もするし散骨もするのだけどお骨は何か所に分けていいの?
など。

まず、お墓のあるお寺のご住職と話をすることが大事です。そのお寺に永代供養墓があればそこに改葬する方法もあります。
しかし「住職との話の際にどういった話をすればいいのか?何て話せばいいのか?」といった相談になり、さらには「ずっと住職とつながっていなきゃいけない。お寺とは縁を切りたい」と言われてしまうこともあるといいます。そういった話を聞くと悲しくなりますね。

分骨については色々な意見がありますが、一つのお墓に納めた方がいいのではと思う反面、「お骨を手元に置いておきたい」という親族のお気持ちも理解できるので、供養する側が安心できることが大事です。
良く調べずに安易に散骨を決めてしまったり、『お墓じまい』をしたりすると、後々で色々な戸惑いや不安も出てくるのだろうと感じました。



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坊コン談義 お骨について

今回の坊コン談義は『将来の自分の、もしくは身内のお骨はどうなっているか?どうなっていたいか?』というテーマで話し合いました。いつも同様「話したくない人は無理に話さなくてもいい」という条件付きのディスカッションタイムです。各グループごとに出された意見をまとめて発表しました。

Aグループ
「財産は奪い合い、お墓は押し付け合い」という鋭い意見も。このグループはお墓をメインに考えるのではなくて、供養する側、お墓参りをする側をメインにして、お墓参りに行きたくなるような場所としてお墓を考えたらいいのではないかという意見でまとまりました。美味しいものを食べに行くついでにお墓参りに行く。家族でお弁当を持って楽しみにお墓参りに出かける。京都に遊びに行くついでとしてお墓参りに行って・・・など自分が行きたい場所にお墓があると思ったらお墓参りも楽しめるのではないか。

Bグループ
死者と生者の棲み分けをきちんとしたいので、お墓にお骨を納めたいという意見が多かった。
樹木葬や手元供養にはネガティブな意識。お骨はお墓に納め、上から封印としての重しの役目たる墓石で抑えて安定をしたいと考える。

Cグループ
樹木葬希望の方。跡取りがいないのでお墓をどうしようか現在悩んでいる方。家が絶えてしまうことの心配をしているという方も。代々続けて家を守る子孫が供養するのがベストですが、現実はいろいろな悩みを持っている方も多い。

Dグループ
親は散骨希望だが、自分としてはお墓に入れて供養してあげたい。子どが女性のみなので将来お墓を守ってはもらえないので心配、等。そのほか、生きているうちに納骨堂に決めたけれど、色々なことを知って行くうちに迷ってしまったという意見も。

寺ネットサンガ代表の吉田尚英さんは「亡くなった後、お題目やお経があがったお骨はその場で仏さまになっています。仏さまであるお骨を粗末に撒いたり捨てたりしてほしくはありません。散骨や霊園などは業者の経営ベースに乗った話が多く、信仰や精神的な面でまったく話がかみ合わなくなっていることが大きな問題です。最終的にお墓が無縁になったとしても、守っているお寺が引き継いで供養する。そのための場としてお寺があるのではないでしょうか」とお話されました。


更に、ディスカッションでは、フェイスブックからの質問『散骨するにあたって、お骨のどの部分を散骨として選べばいいのか』というテーマで意見交換をしました。

参加されたお坊さん方は、「仏教的に、宗派的に、という制約はない」という意見が大半でした。
・何処でもいいと思います。どこがいいの?って逆に聞いてみると思う。
・パーツはどこでもいいと思う。好きなところでいいのでは。
・どこを取ってももいいと思います。部位にこだわる必要はないと思います。
・お年寄りなどは分骨に否定的な人も未だに多い。お坊さんから一言「大丈夫」と言われたら安心する気がする。


また、「ペットの遺骨を人と一緒にお墓に納める事はどう思うか」についても意見交換しました。
・大好きなペットだから一緒にお墓に入れたいが、他の人も入る墓なので実際には入れられない。
・家族の一員なので是非一緒に入れたい。
・動物も人と一緒に仏様になるの?


今回初めて参加された方でも、日頃の悩みや、仏事に関する素朴な疑問を質問していました。サンガのお坊さん達からの回答を得て、ホッとひと安心して会を終えた方もいらした様子でした。ご自分の菩提寺への不満や悩みなども気軽に相談できる寺ネットサンガの坊コン。「お坊さんは怖い」と思っている方も見方が変わるのではないでしょうか。

寺ネット・サンガHPhttp://teranetsamgha.com/


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