仏教的断捨離3~寺ネットサンガ「坊コン」 心の垢おとし~仏教的断捨離 断捨離 サンガ

心の垢おとし~仏教的断捨離

新年を迎え初めての寺ネットサンガ「坊コン」が、2017年1月25日に日本橋ウィズ・ビジネスセンターにて開催されました。色々な宗派のお坊さんと気軽に話が出来る人気の坊コン、今回は「心の垢おとし 仏教的断捨離」の3回目です。“執着無くせば楽になる!執着なければつまらない?!あなたは何を捨てますか?”

今回、講演予定されていた名取芳彦さんがインフルエンザに罹ってしまったとのことで、急きょ永寿院住職であり、寺ネットサンガ代表の吉田尚英さんが登壇しました。お坊さんになる前は一級建築士として、建築事務所に勤務していた吉田さん。お得意の建築話題で断捨離を語りました。 




「断捨離に効く薬」 吉田尚英

断捨離」とは・・・断と捨を繰り返していくと⇒離 になっていくという、やましたひでこさんによってつくられた言葉です。

『断』まずはモノを断つ決意を。買わなくても家にモノが流れ込む時代です。まずは、このモノの流入を意図的に塞ぎ止めます。
『捨』モノの要不要をジャッジ。家にあるモノ人一つ一つの要・不要を吟味しココロの執着とともに丁寧に手放していきます。
『離』やがて訪れる状態。「断」と「捨」を繰り返すうち、住まいだけでなくココロも軽やかに調います。この状態が「離」。

なぜ、なかなかモノを捨てられないかというと・・・
・現実からの逃避(時間がないから)
・過去への執着(あの頃はよかったなあ)
・未来への不安(いつか使うかも)
こういったいろんな理由があるのだそうです。

「では、断捨離を仏教の立場から考えてみたいと思います」と、建物模型を組み立て始めますと、あっという間にエレベーター付きのマンションの模型が出来上がり。まずは、この模型を使って、仏教の中での「十界」を説明くださいました。

〇十界
十界は四聖六道(ししょうろくどう)といって、十の世界に分かれています。みなさん“六道輪廻”はよく聞く言葉だとおもいますが、人間はたいてい下から6番目までの世界をうろうろしているそうです。

仏 (慈悲)慈しみ深く円満な心
菩薩(求法)悟りを求め他を思いやる心
縁覚(覚法)ひとりで悟りを求める心
声聞(知法)清らかさを求める学びの心
天上(歓喜)よろこびたのしむ心
人間(無常)なやみゆれうごく心
修羅(闘争)おごりあらそう心
畜生(愚痴)わきまえのないおろかな心
飢餓(貪欲)わがままでむさぼる心
地獄(瞋恚)いかりとくるしみの心

「この十界のマンションについたエレベーターに乗っているのが私たちなのですね」そう言いながら吉田さんは、スルスルとエレベーターについたひもを引っ張り上下に動かしてみせてくださいました。
次に、マンションの箱を一つ一つ立て始めると、なんと、地獄の箱の底には地獄の絵が、修羅の箱の底には修羅の絵が描かれているではありませんか!しかもカラーで色彩豊かに。
参加者の皆さんの目は一斉に模型に注がれています。丁寧に作られているとはいえ、こんな凝った造りになっているとは驚きです!さらに、吉田さんが小さな人形までも取り出してそのそれぞれの箱に乗せてみせました。

「私たち人間はだいたい下の方をうろうろしているのですが、この十界は人の心の中にもあると考えられていて、それを「十界互具」といいます。特に地獄・飢餓・畜生の世界は「三悪道」といい、たいへん煩悩の強い世界です。これらは“貪瞋痴”や“三毒”ともいいます。人間は常にこれらの煩悩に悩まされていて、それをいかに断捨離するかが仏教の修行だと思ってください。この重りのような“貪瞋痴”(貪=むさぼり、瞋=怒り、痴=迷妄)が無くなると、私たちはエレベーターですーっと上までいけるわけです。
“貪瞋痴”に効く薬は「南無妙法蓮華経」のお題目。仏様はこのマンションの最上階に住んでいる大家さんのような存在です。”大家といえば親も同然”というように、お経の教えに沿って修行をしていけば必ず仏様の世界に行けますよと、温かい眼差しで見守ってくださっているのです」

仏教の教えをマンションに見立てて説明してくれるとは本当にユニークです。建築家の吉田さんならではの、十界マンション模型を基にした断捨離のお話でした。
お話が終わると皆さんが前に集まってきて、模型や人形を手に取って感心して見ていました。





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お坊さんとディスカッション&質問コーナー

今回のテーマは「墓石に入れたい(残したい)コトバ」です。今日はお墓が要るか要らないかは置いておいて、もしお墓を作らなければならないとしたら、あなたならどんな言葉を墓石に残したいですか?について話し合うことになりました。
参加者に「そんなことは考えたこともないなあ」と言われながらもディスカッションタイムが始まりました。いつも通り、話したくない場合は無理に話さなくていいというルールの基で自己紹介をしながら参加者の皆さんとグループディスカッションを楽しみます。
各グループを代表してお坊さんがまとめを発表してくださいました。

・墓石に入れたい言葉が見つからないです。自分で考えた言葉を入れるなんて恥ずかしくて出来ないですが、家族が自分のために考えてくれた言葉だったら、何を入れてもらってもいいと思っています。

・文字ではなくモニュメントみたいな形のものだったらいいかも。

・どうしても書かなきゃいけないとしたら「一日一笑」「湯気三昧」など。

・「生きてるだけでもるもうけ」

・あまり変なことは書けないからオーソドックなものがいい。

・墓石に何かを残さなきゃならないなら、むしろ永代供養墓のほうが楽かもと思った。

・子孫に伝えるために何かを書いて残すというのもあるけれど、自分が生まれ変わって輪廻しても、前世の自分の残した墓石を見たらわかるような言葉を残すのもいい。

・後世の人に何か考えを伝えられるきっかけになるような言葉だったらいいと思う。

・入れたい言葉は特にないけど、文字のみだったらいいかもしれないと思った。

・記号を入れるのもひと案。

・韓国はハングルの国ですがお墓には漢字を使うそうです。それを聞いてなぜだろうと不思議に思ったのを思い出しました。

・文字は恥ずかしいので、絵のほうがいいかも。
などなど
 

〇お坊さんへの質問タイム
Q.「お墓参りが途絶えてしまうお墓が問題になっていますが、そういうお墓ってどうしているのですか?」

A.うちのお寺では永代供養墓に入れますが、今のところはそういう家はないです。
A.霊園はわかりませんが、寺院墓地の場合はだいたい合祀する墓地があるので、そこに入ることになるでしょう。

上記の質問から始まり、お墓じまいの実情や、地方のお寺の檀家事情などにも話が及びました。
大体どこの寺院でもお墓の規約があるのでよく調べることも大切なのだそう。
体調不良だったり、経済的な状況だったりでお墓参りに行けなくなる方もいるわけで、知らない間にお墓が無くなっていたというトラブルもないわけではないようです。
また、高齢でお金の心配もあり、墓じまいに踏み切れないでいる人もいるそうで、お寺側から檀家さんへどこまで踏み込んで声をかけたらいいのかわからない。といった配慮に悩むお坊さんも何人かいらっしゃいました。
サンガならではの“ぶっちゃけトーク“は、お坊さんだけでなく葬儀業者さんからも貴重な意見が飛び出し、現状のお墓問題が赤裸々に語られた坊コンとなりました。




仏教的断捨離3~寺ネットサンガ「坊コン」

断捨離 サンガ

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