寺ネットサンガの遠足~鎌倉3 お坊さんと話しながら初夏の鎌倉を散歩 鎌倉 お坊さん

お坊さんと話しながら初夏の鎌倉を散歩

寺ネット・サンガの新企画「サンガの遠足」の第3弾が2018年5月28日(月)に開催されました。
3回目の今回は江の島が見える海辺周辺を散策。極楽寺~鎌倉大仏~由比ヶ浜~材木座海岸~光明寺というコースで歩いていきます。集合場所は江ノ電の途中駅である「極楽寺」。雨が心配されましたが曇り空から時折お日様が顔出すというまずまずのお天気の中、出発です。



〇極楽寺にて
今年は紫陽花の開花が通常よりも早く紫陽花がそこかしこで咲き始めていて、極楽寺の山門前にも紫青やピンク色に色づき始めた紫陽花がきれいでした。

今回のサンガの遠足は、鎌倉散策のベテランガイドの大貫昭彦さんが同行くださいます。まずは極楽寺山門前で極楽寺の由来からお話しいただきました。

大貫さんはなんと御年80歳。国語教師をされていたとのことで、退職後にガイドのお仕事を始められたのだそう。お年を全く感じさせないかくしゃくとした立姿で、活舌よく、また大変わかりやすい。しかも、細かい数字や人物名も暗記していらっしゃるのには本当に驚きました。

極楽寺を開山した忍性さんが日蓮聖人と雨ごいの闘いをして忍性さんが負けてしまった話や、忍性さんが病人や貧者などの為に尽力した話、極楽寺が火事にあって再建しなければならない時に、どのように資金を集めたかなどお話しくださいました。その当時に今で言う社会福祉や病院としての役割を寺院にもたらした忍性に、とても興味を持ちました。

さらに極楽寺にある寺宝、重要文化財仏像の釈迦如来像や十大弟子像を拝観しました。釈迦如来坐像は転法輪印の手の形が大変優雅な釈迦様です。
秘仏である釈迦如来立像をお参りすることはできませんでしたが、水の流れるような同心円で衣をあらわす清凉寺式仏像の特徴と、鎌倉時代の深彫りの仏像の違いをご教授頂きました。

十大弟子像はそれぞれが個性に溢れ、謂れに基づいて造られていて興味深く参拝しました。仏像には玉眼が施されているので、少しの光でもキラキラと輝き命が宿っているよう。
参加者のみなさんも座って下から眺めたり、顔を近づけてみたりしながら仏像をお参りしていました。




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鎌倉の大仏~由比ガ浜へ

極楽寺から鎌倉の大仏へと向かう車道は幅が狭く、その両脇には人が一人やっと通れるくらいの歩道が続いています。
驚いたのは月曜日だというのに大勢の外国人観光客がいたこと。狭い歩道を肩をすぼめながら、観光客同士抜きつ抜かれつしながら歩いていきます。ミャンマーから来たと思われるお坊さん達の姿も見られました。色々な外国の言葉が飛び交い、そこに修学旅行と思しき学生の団体も加わると平日とは思えないほどの混みようです。

ガイドの大貫さんから、鎌倉の大仏(高徳院)の詳しい説明を聞きながら暫しの休息です。各自、仏像の中を拝観したり、背中から写真を撮ったりと鎌倉の大仏様を存分に見学しました。
大仏殿を後にして次は由比ガ浜~材木座海岸を目指し歩いていきます。




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材木座海岸から光明寺へ

江ノ電の面前に広がる砂浜海岸は滑川を境に西側を由比ガ浜、東側を材木座海岸と呼びます。
車道に沿った歩道を歩いていくのですが、由比ガ浜から材木座にかけてはおしゃれな店も多くあり、店先を眺めたり、海を見ながら歩くのであまり疲れを感じません。少し陽が照って風も強くなり、風が潮の香を運んできます。

「若いころはよく材木座海岸に行ったよ」「20代のころに江の島に行ったきり久しぶりだわ」と皆さん若い頃の思い出がよみがえってきたようで、楽しそうに思い出話に花が咲いています。幹線道路の歩道には徐々に砂が多くなり、白波だつ海辺にはウインドサーフィンに興じる人も多くいました。材木座の海岸は満ち潮で風も強く吹いていましたが、何年かぶりに歩く砂浜は新鮮で足取りも軽く歩けました。

鎌倉時代の海岸は「前浜」と呼ばれ、聖人や職人や漁師など庶民が行き会う場でもあり、その前浜を管理していたのが極楽寺であったそうです。
また、街の中で発生した市のけがれを追いやる先であったともいわれています。
地下駐車場の工事現場からおびただしい数の人骨が発見されたこともあるそうです。


〇光明寺にて
浄土宗の関東大本山である光明寺は鎌倉の材木座海岸の奥にあります。大きく立派な山門は三間が通路になっています。入母屋造、銅板棒瓦葺きの本堂は鎌倉で現存する近世仏堂では最大なのだそう。境内は大変すっきりとしてシンプルな印象です。今回参加されている吉田健一さんが浄土宗のお坊さんですので、本堂で南無阿弥陀仏をお唱えして頂きました。


〇「寺ネットサンガの鎌倉遠足」を歩いてみて
寺ネットサンガ主催の「鎌倉の遠足」は3回に渡って行われました。
全てに参加して感じたのは、鎌倉の地形を満喫できたということ。崖の多い山間部は新緑が生い茂り、港から眺めると森林が隠れ蓑の役割をしているようです。しかし、高台からはしっかりと海岸線や港の様子が一望できました。防衛ということからしてみても最適な場所である鎌倉
源頼朝がなぜ関東の要所に鎌倉を選んだのかも、歩いてみてこそ実感出来たような気がしました。

また、個人的にはあまりに身近ではなかった鎌倉時代の武士社会や、なぜこの時代に仏教が栄えたのかなど歴史的な背景にも興味を持つことができました。

お坊さん達の事前のご尽力により、普段はなかなか入れないような貴重な場所や宝物館などに入ることが出来、さまざまな重要文化財を目の当たりにすることが出来たのは貴重な体験でした。
鎌倉時代にいくつもの宗派が生まれた背景の歴史も知ることが出来、ただの観光とは一味違った多くの学びがありました。










寺ネットサンガの鎌倉遠足3

鎌倉 お坊さん

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