建築法話⑪ 壁 壁 土

最近、の家を身近に見なくなりました。
、砂、藁スサ(乾燥した稲藁を短く切ったもの)などに、水を混ぜよく練り上げ、数ヶ月から数年間寝かせてつくったを、竹を藁縄で格子状に組んだ下地に塗り込み乾燥させる。
それを数回繰り返すので、が仕上がるまでに一年以上かかることもめずらしくありません。

古い民家の間取りを見ると、部屋の間仕切りには建具が使われてはありません。
人々が力を合わせなければ暮らすことができなかった時代、人の出入りをで区切るという考えがなかったのかもしれません。
そのかわり、仏壇や床の間、納戸や蔵はで囲まれています。
手間ひまかけて自然の恵みを練りこんだで、仏さまやご先祖さまへの思い、生かされているという教えを包み込んできたように思います。

世界各地にも泥を手でこねてつくったの家に多くの人が暮らしています。
しかしその多くは、厳しい自然環境や外敵から身を守るためのであって、日本のとは対照的です。

現在の日本では、自然素材を使ったに代わって、接着剤を調合した左官材料やビニールクロスを、石膏ボードに塗ったり貼ったりしたが主流となりました。
化学物質に体をおかされる人や、の中にひきこもり心もおかされる人も増えています。
に囲まれた生活を変えることは難しいかもしれませんが、かつてに包み込んだ心の宝は失わないように心がけたいも

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