研修会報告「首都直下地震 検証・寺院の備えと役割」 講演① 寺院に求められる帰宅困難者対策について 備災 防災

講演① 寺院に求められる帰宅困難者対策について

平成26年2月27日に開催された日蓮宗「京浜教区教化研究会議」の報告です。
首都直下地震が発生した際、寺院は地域の拠点としてどのような役割を担うのか、具体的な防災備災について学び、話し合ってきました。

講演①は、東京都総務局総合防災部事業調整担当課長 萩原功夫氏による帰宅困難者対策に関する内容です。
災害発生後、大量の帰宅困難者が路上を埋め尽くすと、救助・救命活動の妨げになるだけではなく、余震等で二次災害に遭う可能性もあり、むやみに移動しないごとが望まれます。
そのためには、自宅の耐震対策、家族との連絡手段など、日頃から心の準備が何より重要になります。

一斉帰宅の抑制・備蓄の目安・一時滞在施設の役割など、寺院が帰宅困難者を受け入れる際に必要な情報も提示していただきました。

講演② 地域防災における寺院の役割

講演②は、工学院大学建築が学部まちづくり学科教授 久田嘉章氏の地域防災における寺院の役割についてです。

首都直下地震の被害想定・過去の震災の教訓など提示していただいた後、地域連携による様々な対策について具体例を挙げながらお話していただきました。

小中規模の災害と、最大級・最悪想定の災害とでは、その対策が異なること。
「逃げる対策」から「逃げない・留まる対策」をとれるように、家庭・職場・地域で幾重にも備えておくこと。
そして、寺院は地域のシンボルであり地域防災の拠点として、平時には講習会や訓練会場、非常時には一時集合場所・避難所などになり得るので、備えが重要であるとご教授いただきました。

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講演③ 『寺院備災ガイドブック』と避難所ワークショップ

講演③は仏教NGOネットワーク 備災プログラム担当の自覚大道師から『寺院備災ガイドブック』の解説とワークショップです。

東日本大震災では寺院が避難所として地域の人々を受け入れ、多くのいのちを支えてきました。
その現場の教訓を生かし、寺院が避難所となったら何が起きるのか、備えておけばよかったもの、避難所運営で苦労したこと、全国の寺院に伝えたいことなど、いざという時のために必要なことがぎっしりと詰め込まれているのが『寺院備災ガイドブック』です。

ワークショップでは寺院が避難所となったと想定して、緊迫・混乱した状況下で避難者からの要望や避難所運営の課題を、いかに整理・解決していくかを体験しました。

事前の備え(物の備えと、知識や経験を持った人)の大切さを実感し、組織的に役割を分担する(個人で対応することの限界)大切さを学びました。

地域のネットワークという横糸と、先祖代々受け継がれた歴史の縦糸を、信仰という核によって結びつける寺院の役割が非常時に試されるのであろうと身をもって感じました。

災害対策

備災 防災

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