7期 第8回 池上市民大学体験記 仏教の話「仏さまにお香を供養すること」 市民大学 お香

仏教の話「仏さまにお香を供養すること」

1時限目は岡本亮伸先生の「仏教のお話」。今回のテーマは「仏さまにお香を供養すること」についてです。仏さまをお香の良い香りでお迎えし、またお焼香によって香りの功徳をお供えいたします。

お香の歴史「供え香」
古くは奈良時代に仏教の伝来と共に「供え香」として日本に伝わり、『日本書紀』にはすでに沈水香(じんすいこう)についての記述が見られます。平安時代には貴族の、江戸時代には町民たちのたしなみとして親しまれてきました。
室町時代以降は、茶道や華道と同じように「香道」として、その香りをたしなみ楽しむ文化が発展しました。

かつて天帝に捧げる祈りは、お香から立ち上る煙にのって聞き入られるとされたことから、お香を「聞く」と表現するようになり、その作法は「聞香(もんこう)」といわれます。
仏教伝来と共に伝わった「供え香」とは、お香による供養のことで、尊敬の心を土台に「善意」を施し、感謝の意を表わします。

○仏教3つの供養
・利供養(りくよう)目に見える品物で供養をする
・敬供養(きょうくよう)敬意を捧げることで供養する
・行供養(ぎょうくよう)仏さまの教えを実践して供養とする
良い香りは、自分もしあわせな気分になりますが、お香を焚くことによって周囲も良い香りで包みしあわせにしてくれます。

お香の徳
『華厳経』に説かれた「香の十徳」、一休禅師がお伝えした「香の十徳」には、香には身を清める他に、感性を鋭くしたり、心身のバランスを整える旨が記されています。心がおだやかであればストレスを感じにくいことから、『華厳経』には寿命をのばすとも説かれています。

お香の体験
口に含んで口内を清める「含香(がんこう)」の一種である乾燥した丁子(クローブ)が配られました。口に含んでみますとスーッとして、しばらくすると辛くなってきました。

「栴檀」(せんだん:「白檀」びゃくだんと呼ばれる)と「沈水香」(じんすいこう:「沈香」じんこうとも呼ばれる)、それから沈水香の中でも高級品である「伽羅」(きゃら)の3種の香りも頂きました。
白檀は甘く、沈水香は甘い中に清涼感を感じます。伽羅は少し変わった香りで、清らかで鼻にすっと抜けるような感じです。
最近、お香人気が復活してきて、かわいらしい香炉や専門店も良く見かけます。私も家で白檀を眠る前に焚くのですが、心が落ち着きます。本日「供え香」について学びましたので、良い香りの中で仏さまに感謝しようと思います。
ライフスタイルのひとつにお香を取り入れてみるのも良いかもしれません。(火の扱いには充分ご注意ください)

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池上本門寺の守護神信仰

池上本門寺境内には、いくつかのお堂があります。
それぞれのお堂には守護神が祀られています。かつて存在したお堂のうち、現在失われてしまったものもあります。その歴史を学芸員の安藤昌就先生と一緒に、本門寺境内を散策しながらお伺いしました。
江戸時代中頃、「現世利益」の風潮が民間で爆発的に広がり始め、本門寺境内にはさまざまなご利益をもたらすとされる守護神堂が建立され、祈願に訪れる参拝客が絶えなかったそうです。

現存する「長栄堂」「妙見堂」「日朝堂」をお参りし、それぞれの歴史についてお話を伺いました。

三十番人神さまを祀った「番神堂」、「鬼子母神堂」、七面天女を祀った「七面堂」、総門の傍にあった「大黒堂」のご紹介がありました。明治維新に伴って発令された「廃仏毀釈」(神仏分離令)等によって残念ながらそれらのお堂は残っていません。

勝負事のご利益があると庶民の間で根強い人気を博していた「清正堂」も霊宝殿建設に際し廃堂となりました。現在「松濤の間」にお祀りされている加藤清正公のお像を皆でお参りさせていただきました。

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まとめ

今回の池上市民大学では「大日本帝国武陽池上本門寺全図」による、地図にみる池上本門寺の昔の風景に心奪われました。
現存していたら、なんと賑やかだったことでしょう。失われてしまったものは、元には戻りません。現在の私たちは、かつての池上本門寺の賑わいを想像するしかありませんが、これはとても残念なことです。

廃仏毀釈、空襲、火災・・・池上本門寺には様々な苦難の歴史が存在しています。こうしてお寺の歴史お話をお伺いしますと、数々の苦難を乗り越え、お寺と共に歩んできた人々の苦労と信仰の篤さを感じます。

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