今、皆のこころが一つとなり み仏からの大いなる付属が始まる 「その時、釈迦牟尼仏は法座より起ちて、大神力を現す」 総付属 嘱累品

「その時、釈迦牟尼仏は法座より起ちて、大神力を現す」

今回から法華経第二十二番目の「嘱累品」に入ります。

前回までの神力品では、仏さまが永遠の昔から教え導かれた上行菩薩などの徳の高い菩薩さま方へ、末法の世でこのみ教えを弘めることを勧められました。
これは特別な方への付属であるところから「別付属」といわれ、これに対しこの章では仏さまはそれらの特別な菩薩さま方だけではなく、娑婆世界に古くからおられた文殊・普賢といった方や、観音さまのように他方から来られた方など、参集した全ての人々に対して、このみ教えを弘めるように勧められたので「総付属」といわれているのです。

この章の題名にもなっている「嘱累(ぞくるい)」という言葉は、頼むという意味の「嘱」と、煩いをかけ面倒をかけるという「累」とからなっています。
つまり嘱累とは、いろいろと面倒をかけるけれども、何が起ころうとも決して退転することのない覚悟をもって末法の世にこのみ教えを弘めてくれという、仏さまからの依頼であるのです。

参集する全ての人々の心持ちが一つとなったことを感じ取られた仏さまが、悟りを開かれてからずっと心に秘めてきた思いを、今ここで打ち明けるために法座より立たれ大神力をもって、この依頼が始まるのです。

法華経

総付属 嘱累品

今、皆のこころが一つとなり み仏からの大いなる付属が始まる「その時、釈迦牟尼仏は法座より起ちて、大神力を現す」