菩薩道を行ずる者は他心なくお題目を修する 「汝等まさに一心に此の法を流布して広く増益せしむべし」 嘱累 付属

「汝等まさに一心に此の法を流布して広く増益せしむべし」

前回、「妙法蓮華経嘱累品第二十二」の題名にもなっている「嘱累(ぞくるい)」についての説明を踏まえ、仏さまが法座より起って大神力をあらわされたところまでお伝えしました。

その大神力とは「摩頂付属(まちょうふぞく)」といい、参集した全ての人々の頂(いただき)を右の手を以って一斉に摩(な)でられたのです。
頭をむやみに撫でられるという行為は、子供ならとにかく、大の大人であれば少々不愉快な行為に捉えがちですが、お釈迦さまのお生まれになられたインドでは、人の頭を撫でるというのは信任して委せるという行為なのです。

そして仏さまは、
「私は非常に長い長い年月をかけ、教えを習って順々に修行を積んで仏智を具え得るようになったのです。
いい加減な修行では仏の智慧を得ること、すなわち絶対の真理を捉えるというようなことはもちろんできはしない。
非常に長い年月をかけ修行を積み重ね、得たところの阿耨多羅三藐三菩提、すなわち仏智を以って、一切の人々を導くために教えを説いてきたが、この教えを今ことごとく皆に付属するから、皆こころしてこの教えを学んで、これを世に弘めることを委せる」と、こう言われました。

主・師・親の三つの徳を具えられた仏さまからの信任を、個々がしっかりと受け止め日々の生活に生かさねばならないのです。 

法華経

嘱累 付属

菩薩道を行ずる者は他心なくお題目を修する「汝等まさに一心に此の法を流布して広く増益せしむべし」