二十四節気と七十二候  秋分 二十四節気 秋分 秋分 七十二候

二十四節気 秋分

秋分  (八月中)
9月23日~10月7日

陰陽の中分となれば也  (こよみ便覧)

秋のお彼岸の中日にあたる秋分の日。初秋の風も爽やかに、過ごしやすくなってきたこの頃です。蝉の声も小さくなり、かわりに草むらから虫の音が聞こえてくるようになりました。
彼岸花もそこここに咲き始めています。

今年は暦どおり二百二十日の辺りに、台風が爪痕を残して通り過ぎて行きました。また、先日の仲秋の名月では美しいお月様を見ることができましたね。
七十二候のことを文にしはじめて改めて思うのは、単純な太陽暦とはいえ七十二候や雑節の確かさです。
古より大切にされてきた七十二候ですが、人々は植物や動物から季節の到来を教えてもらっていたのだと実感しています。

秋分を迎え、いよいよ秋も深まります。「天高く馬肥える秋」の言葉どおり、秋は収穫の季節です。多くの生き物は冬に備えて、栄養を体に付けようと動き始めます。私たちも秋に食べ物がおいしく感じるのは、そういう自然の摂理に叶っているからなのでしょうね。

昼と夜がほぼ同じになるのが秋分です。そして日に日に夜の時間が長くなってきます。10月に入ると、大地が徐々に冷えてくるため、大気の状態も安定し、風も穏やかに流れます。晴れた夜の翌朝には気温が下がり、霧が出ることも。
秋の夜長は、読書の秋、芸術の秋?それともおいしいものを味わう食欲の秋?あなたにとっての今年の秋はどんな秋でしょうか?



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七十二候 秋分初候 雷乃収声

七十二候 第四十六候 雷乃収声
9月23日~27日頃

らい(かみなり)すなわちこえをおさむ。
この頃から、夕立が止んで、雷も鳴らなくなります。

太平洋高気圧が衰えて南下し、かわって、北から大陸性高気圧が勢力を広げてくる時期。
この2つの高気圧の間にあるのが秋雨前線です。その為、初秋には長雨が続くことも。さらに、だんだんと偏西風(ジェット気流)が強くなることで、大陸から移動性高気圧が日本に流されてきます。カラッとして気持ちの良い秋晴れになるのは移動性高気圧が来たため。
「娘心と秋の空」と言われるように変わりやすい秋の天気ですが、偏西風による移動性高気圧と秋雨前線とが原因だったのですね。


ひやおろし  秋あがり

「ひやおろし」とは、冬に搾られた新酒を春先に一度だけ加熱殺菌し、その後秋まで熟成させ、二度目の火入れせずに出荷する日本酒のこと。冷のまま貯蔵用の大桶から木樽へと移(おろ)して樽詰めをしたことから「ひやおろし」と呼ぶのだそう。
また、この時期限定で出荷されるお酒で、「秋あがり」と呼ばれるものも。こちらは火入れを2回おこなっています。「ひやおろし」も「秋あがり」も、どちらも春から秋までじっくりと熟成されていますので、日本酒本来のまろやかな味を楽しむ事が出来ます。

先日、この「ひやおろし」「秋あがり」の試飲会に行ってきました。その酒屋さんで扱っている、何軒かの酒蔵さんのひやおろしを試させて頂いたのですが、さっぱりと水の様にいただけるものから、おつまみが欲しくなるような濃厚な辛口のものまであり、酒蔵さんそれぞれの風味と味を飲み比べることが出来ました。決して有名ではない酒蔵さんだったりするのですが、日本酒の美味しさを実感できる「ひやおろし」の試飲会で、改めて、日本酒の美味しさに感動。粋な時間を過ごせました。



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七十二候 秋分次候 蟄虫坏戸

七十二候 第四十七候  蟄虫坏戸

9月28日~10月2日頃

「ちっちゅうこをはいす」と読ませます。「むしかくれてとをふさぐ」とも。
虫たちが地中にもぐり、冬籠りの準備を始める頃。二月節の「啓蟄」と対になりますね。新暦3月初旬まで虫たちは地中へ籠ります。

金木犀が咲き始めるのもこのころから。オレンジ色のかわいらしい花をいっぱいにつけて爽やかで甘い芳香を漂わせ楽しませてくれる金木犀。秋を代表する花は他にも、コスモスや桔梗、ススキなど。
「花」は春の季語ですが、「花野」は秋の季語。道端や野原に咲く小さな花や千草に愛おしさを感じるのが秋でしょうか。「もののあわれ」もそんな感性からきているのでしょう。


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七十二候 秋分末候 水始涸る

七十二候 第四十八候 水始涸

10月3日~7日頃

「みずはじめてかる」 と読ませます。
水田の水を抜き始め、稲刈りの準備が始まります。七十二候では、これからが稲の刈入れ時ですが、最近は9月中ごろには稲刈りを終わらせてしまうようです。品種改良が進み、稲の実りも刈取りも早めにおこなわれるようになったからでしょう。

「秋」の漢字は禾偏と火でできています。禾はノギのある植物全般を表していて、稲だけでなく、粟や黍、稗などの穀物もその仲間です。この時期、穂が実ってくると、その実を食べようと出てくるのが虫たちです。「秋」の古代文字には禾と火の間に亀の古い字体が入ったものが書かれています。それは穀物を荒らす虫のこと。カメムシやズイムシなどの稲穂の生長を妨げる虫を火で焼いて、収穫が豊かになるようにするといった意味を表してできたのが「秋」という漢字なのだといいます。

ともすると、お店で簡単に手に入るお米ですが、収穫までには天候に左右され、雑草や鳥、害虫対策、水管理などに追われながら日々、労力を費やさねばならないのが農業。美味しいご飯やお酒など、作り手の想いと、自然の恵みに感謝しつつ頂かなければいけませんね。








二十四節気と七十二候 秋分

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