二十四節気と七十二候 七十二候 第七候 蟄虫戸を開く 七十二候 仲春

七十二候 第七候 蟄虫戸を開く

二十四節気とは

一太陽年を春分を起点に24に分割したもので、太陰暦とのずれを調整するのに使われました。
12の節気と12の中気を交互に配し、春分・秋分を二分、冬至と夏至を二至とし、立春、立夏、立秋、立冬を四立として合わせて八節としました。現在では太陽の黄道上の軌道から定気法で算出しています。

二十四節気は約15日ごとですが、それをさらに3等分したものが七十二候です。
気候の由来である七十二候は実際に農事に役立つ目安として気象や動植物の変化等を現わしています。
元々は中国で生まれた七十二候ですが、渋川春海が編纂した貞享歴や、宝暦暦・寛政暦、明治7年に施行された略本歴などがあり、表記が異なる場合があります。ここでは宝暦歴・寛政歴を参考に、現代語を使ってわかりやすい表記にしています。


二十四節気 啓蟄 けいちつ
啓蟄(二月の節気)
地中に潜っていた虫たちが動き出す頃。啓は開くという意味で、蟄とは地中に虫が閉じこもること。啓蟄は仲春の初候。仲春とは陰暦の二月の異名です。初春を過ぎてうららかな仲春となり、いよいよ春らしくなってくる頃です。


七十二候  啓蟄の初候(第七候)  蟄虫戸を開く
新暦3月5日頃

宝暦暦・寛政暦の七十二候では「ちっちゅうこをひらく」と読ませます。
蟄虫は啓蟄の蟄と同じで、地中にこもっている虫のこと。その虫が戸を開いて出てくる頃です。
なぜか、七十二候でも二十四節気の啓蟄と同じなのですね。

元々の中国で作られた暦が日本で採用されるようになったのが、604年の推古天皇の御世でのこと。「元嘉暦」から始まり「儀凰暦」「大衍暦(だいえんれき)」「五紀暦」と採用されてきました。その後、貞観4年(862年)に「宣明歴」が採用されてからは823年もの長い間使われました。1684年までは七十二候も中国伝来のものをそのまま使っていましたが、さすがに日本とのずれに違和感があったようです。そこで、江戸時代の1685年の渋川春海らの改暦に伴って、日本本来の七十二候が編纂されました。

「蟄虫戸開」の候は中国伝来の「宣明歴」の七十二候では立春の次候として、蟄虫始振(ちっちゅうはじめてふるう)となっています。仲春の候としての「蟄虫戸開」は日本に合った七十二候として改めて作られた候だったのです。

昨年の啓蟄の夜、永寿院の境内には冬眠から目覚めたばかりの蛙たちで大賑わいでした。
たぶん今夜も…

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七十二候 第八候 桃始めて笑う

七十二候 啓蟄の次候(第八候) 桃始めて笑う
新暦3月10日~14日頃

「ももはじめてわらう」と読みます。桃の花が咲き始める頃です。
花が咲くことを「笑う」と表現した昔の人は、何て素敵なのだろうと思わずにいられませんね。
今年は寒さのため、梅の開花が遅れていると言われていますが、永寿院の梅の木も大分ほころび始めました。
桃の樹はあまり都内では見かけませんが、花屋さんには3月3日のひな祭りに合わせて、少し前から桃の花が菜の花と共にならんでいました。旧暦の3月3日は新暦の3月末から4月初め頃ですから、本来の桃の節句は新暦3月3日よりも一か月ほど後になります。その頃には、きっと桃の花も満開になるのでしょう。
新宿御苑の源平桃は、枝も大振りで立派なものが多く植えられています。どうぞ、お近くの方は出かけてみてください。紅と白が混じった源平桃の花は桜や梅とはまた違った見応えです。

桜の少し前に開花する桃の花は華やかであでやか。明るく生き生きとした若さあふれる女性のイメージです。桃の花が咲く様に女の子達が笑っている情景が浮かんでくるような仲春の候は、生き生きと生を感じられる素敵な季節ですね。

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七十二候 啓蟄の末候 菜虫化蝶
新暦3月15日~19日頃

宝暦暦・寛政暦では「なむしちょうとけす」と読ませます。
蝶になる菜の虫と言えばモンシロチョウを真っ先に思い出します。葉の上のサナギが羽化し、蝶として飛び立つのは神秘的ですが、無農薬のキャベツなどから顔出す菜虫には閉口します。虫がいるということはその野菜が美味しいしくて安全な証拠ですけれど。

永寿院の寺紋は池田家から賜った「丸に揚羽蝶」です。蝶が羽をあげてとまっている様子を表現しているのだそう。美しい揚羽蝶がひらひらと優雅に飛んでいるのを見つけるだけでも心が高揚します。寒い冬を超え、ようやくサナギから飛び立つ蝶の、優雅な羽ばたきがみられるのがこの頃。
春分の日ももうすぐです。そろそろお彼岸の準備も始めなければなりませんね。


2月16日 「十六団子の日」
「十六団子の日」という、北陸や東北地方で行われる農耕行事があります。
「田の神」を山から迎え入れる為に、お団子を16個お供えするのだそう。同様に11月16日(10月16日に行うところも)には田の神を山へ帰すために16個のお団子をお供えするといいます。なぜ16個なのかは知りたいところです。どなたご存知でしたら教えてくださいね。

二十四節気と七十二候 啓蟄

七十二候 仲春

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